「いいですか?ネギ。貴方の場合、私と違って魔法の素質があります。
 魔法の利点は、『飛び道具が強力である』・『バリエーションが多い』といったところです」







ボクの親友の義緋沙は、イロイロなことに詳しくて、優しかった。
薄っすらとした笑顔だが、安心するには充分な笑顔。

いつでも適切なアドヴァイスをくれる、教師のような存在でもある。








「対して私の『錬気武闘術』の利点は、『一つの技を昇華させられる』と
 『威力を自在にあやつれる』というものです」










でも、戦い方はあまり教えてくれなかった。
今思えば、死の危険にボクをさらしたくなかったのだろう。

少し駄々をこねると、少しだけ教えてくれたが。







「ですが、魔法には『詠唱時間』という時間的欠点と『魔力の絶対量』という天性のモノがあります。
 私の錬気術の場合は、『気の絶対量』と『技の単純化』が短所といえるでしょう」







ある意味、ボクにとって親に近い存在だったのかもしれない。
たった1年といえど、我が子のように優しくしてくれた、ボクの親友。





それと、授業がつまらないときには、よく昔話をしてくれた。







「昔ですね、まぁ、昔と言っても結構近い昔、20年くらい前の話ですね。
 5人の若者がいたんです。その5人の若者は、『不限人』とよばれていました。
 彼らはそれぞれ、『剛力』『言霊』『壁目』『鉄壁』『不触』の称号をもらい、
 日夜世界の平和のために戦い続けました。
 あるときは戦場を駆け巡り、またあるときは雪山に入り、
 そしてまたあるときは、業火の中へ人を助けに行きました。
 いつしか彼らは英雄と呼ばれ……………………」








でも、いつもココで話が終わってしまった。
それでも良かった。
続きよりも、義緋沙が話してくれることがうれしかった。


そしてある日、ボクと義緋沙はオックスフォードを卒業した。


その帰り際に、義緋沙はいつもの話の結末を教えてくれた。






「そう、彼らは英雄と呼ばれ、度重なる人体実験の末、一人残らず死にました。
 これがアノ話の結末です……。
 いいですか、ネギ?アナタはそうなってはいけない。
 何者にも利用されず、己の道を行きなさい。
 ……さぁ、もう時間です。またいつか会いましょう。
 必ず、ね……………………………………………………」




そのすぐ後に、義緋沙はボクの前からいなくなった。








そして、5年経った今、義緋沙から手紙が来た。
彼の弟の、月戒に出会った。


そして、このかさんがさらわれた今……。



ボクは、再び義緋沙に会うことになる。









でも、それはずっとずっと先の話であって、今する話じゃない









さぁ、ボクよ。


物語をもう一度始めなさい。


少しずれてしまった軸の上にある、過去の物語の一つを……。


悲しき戦士たちの巣食う、別の世界の物語を……。





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