第14話『新たな始まりの手前』

 

 

俺は、別段何かに不満を持ったことはない。
今までの生活は何一つ不自由しなかったし、やりたい事もけっこうできた。
人体実験の日々は少しばかり嫌な記憶だが、今はこの能力に少しばかり感謝している。

別に『フレンチフライドポテト』が『フリーダムフライポテト』になろうが一向に構わない。
例えば、ホテルのトイレットペーパーが三角でなくても文句は言わない。
普通の人間に嫌われてるのも、まぁ、仕方がないと思って割り切っている。

 

 

だが、今回のことは不満で一杯だ。

 

 

 

『国級月戒 … 左記の者、教員に過剰な暴行を働いたため、退学処分とする』

 

こんな張り紙が、学校のいたる所にに張ってあった。
俺がいなかった5日の間に、事態はあらぬ方向へと進展していたらしい……。

 

 

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「ま、そういうわけだ。俺もよく知らん間に退学にされた。
 ……そういうわけじゃない。一応、教員でもやろうかと思ってる。
 そう、研修期間とか言って、ネギの副担にでもなろっかな〜って。
 そうすれば、護衛のことも片付くし、神鳴流のヤツとの接触率も上がる。
 でもって、あとは猟奇殺人犯をボッコボコにしてやりゃ、俺も帰れるってモンだ」

 

電話口で月戒はしゃべっていた。
会話の相手は、兄・コヘレトである。

『鳴里圭吾に対する凶悪な暴行』で、退学処分を受けてしまったのだ。
で、身の振りようがなくなってしまったので、直接の指令の発信元である兄に助力を求めていた。

 

 

で、さらに、今決まったことだが、教員になって麻帆良学園に侵入することにした。

 

 

 

 

 

 

 

目的はいくつかある。
無駄なことが嫌いな彼は、一手に問題を引き受けようとした。

 

 

まず、当初の指令。
これをこなさなければ、いつまで経っても家に帰れない。

 

そして、2−Aの生徒の監視。

『エヴァンジェリン・AK・マクダウェル』=ヴァンパイア(要注意人物・その1)

『絡繰茶々丸』=二足歩行型万能メイド(?)ロボット学生(研究の必要あり)

『桜咲刹那』=神鳴流剣士(現時点に於ける推測  要注意人物・その2)

『長瀬楓』=甲賀中忍(協力者と考えて良し)

『綾瀬夕映』=才ある童女(付加能力添付可能の可能性高し  要注意人物・その3)

『神楽坂明日菜』=???(瞳の色の違いから、何かしらの能力の片鱗を確認)

『近衛木乃香』=学園長の孫(緊急時護衛対象)

『佐々木まき絵』ならび以下数名=ただの女子中生(口止めの必要あり)

 

 

 

ちょっと数えただけでもウジャウジャいる。
つまり、これだけの人材を一度に監視せねばならないのだ。
勿論、それは毎日レポートにまとめねばならないし、接触もせねばならない。
かといって、不用意に危険な世界に御招待もできない。

 

 

「あぁ、わかった。手続きはコッチでやっとく。そっちは頼んだぜ」

そう言って、受話器を置いた。
月戒は眉をひそめる。
と、背中から抱きつく者に対して言い放った。

 

「黒蓮。ちょっといいかな?」

「どうしましたか? 黒蓮は今、月戒坊ちゃんの体温を直に感じているところでございます」

「他人に勘違いされる表現をするな! 盗聴されてるかも知れんのだぞ!」

「望むところです!」

 

月戒は深い溜息をつく。
学校を退学になってからは、毎日こんな状態なのだ。
頼みの綱であった白桃も、『華楠様からの召集がありましたから』と言って帰ってしまった。
まぁ、華楠のことだから、召集って言っても月戒が困る姿が見たかっただけに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

とにかく、退学になったその日から、月戒の心の休まる日は一日たりとも無かった。

 

 

朝起きれば、黒蓮が必ず隣に寝ている。

朝食は必ず黒蓮と一緒にとらなければならない。
一緒でないといじけてしまい、手の施しようが無くなる。

テレビも黒蓮と一緒に見ているし、雑誌もそうだ。

買い物に行くときなんかは腕を組まされる。
(お陰で、今ではご近所でかなりの評判を頂戴する始末である)

洗濯物も必ず黒蓮が干している。
日に日に、月戒の下着が少しずつ減っているのだが……。

昼食は黒蓮の手作りだ。
自分で作ってもいいのだが『私がヤります!』と、断固として作らせてくれない。

することが無いので昼寝をしても、目覚めれば黒蓮の膝の上だ。

ゲームも、もちろん黒蓮と一緒にやる。

夕食も黒蓮の手作りだ。
まぁ、味も見た目もかなり良いから、文句を言えないのが月戒の現状だ。

風呂は……南京錠を数重にかけているので、今のところ入られたのは一回だけだ。
一回だけ、付加能力で強行突破された。

当然分かると思うが、寝るときも黒蓮が隣にいる。
ベッドから抜け出て床で寝ていても、朝目覚めたらベッドの上に寝かされている。

 

 

例外的に、トイレのときくらいは気が休まるらしい。
唯一、黒蓮が侵入できないサンクチュアリと化しているのだから。

 

 

 

 

 

毎日毎日、新婚さんも引きそうなベタベタな生活を強いられているのだ。
しかも、よりにもよって木々原黒蓮である。
この機会を逃してなるものかと、いつも以上に張り切っている。
お陰で、月戒の精神は日に日に削り取られ、いつパニックを起こしてもおかしくない状況だった。
現に、2・3回発狂しかけているので、そろそろ大変なことになりそうだ。
月戒本人は、『毎日毎日鉄板の上で焼かれたほうが、一体どれだけマシだろう?』と、
普段は目も通さない教育番組をみながら考えていた。

 

 

 

 

と、月戒の頭の中にある提案が浮かんだ。

別に、黒蓮を自分から引き離す必要は無い。
黒蓮の興味の対象を自分から反らしてやれば良いのだ。

 

そして、彼はさらに考える。

興味の対象。
自分以上の。
例えば何が?
食事・ドラマ・客人・情報誌・玩具・刺客・自分の幼児期のビデオ…………。

 

ろくなものが思い浮かばない上に、既に使えない手段ばかりだった。
だが、彼の中にも1つくらい手は残っていた。

 

 

 

 

「なぁ、黒蓮。たまには映画でも見に行かないか?」

「な……映画ですってぇぇぇぇぇええ!?」

月戒に抱きついたまま、耳元で黒蓮が叫んだ。
月戒の鼓膜を突き抜けるようにして、黒蓮の声が響き渡る。

黒蓮の叫び声の余韻が残る中、月戒は続ける。

 

「そう、映画だ。たまにはお前も息抜きが必要だろう?」

「……こ、この木々原黒蓮! 感動の極みにございます! さぁ、一体何の映画を見に行くのですか?」

「……そうだな。『ブルース・オールマイティ』とかどうだ?」

「いいですね! それでイきましょう!」

 

喜喜として喜ぶ黒蓮と、やれやれと思いながら準備をする月戒。
2人とも忘れていたが、今日は麻帆良学園の終了式だった……。

 

 

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「ったく。面倒くさいったらありゃしねぇ。誰があんな変人の集団に溶け込むかってんだ」

 

 

長谷川千雨はいらだっていた。
非常識な10歳(数え)の教師に、変態クラスメイト(複数人)。
おまけに、最近は自分のHPに『国級 コヘレト』とかいうのが時たま来ている。
始めは誰かの下らないジョークだと思ったが、昨日来たメールがそれを簡単に否定した。

 

今回はなんと、国級の技術部へのスカウトだった。
コヘレトが近日確立した特殊情報収集部隊への。

条件はかなり良かった。
三食付いてきて、寝床も確保。
完全固定月給制なため、ノルマさえこなしていればまとまった金が毎月入る。
週二回の休みが設けられており、これまた好条件だ。

ただし、秘密は絶対厳守の上、盗聴器を身につけたままの生活を強いられる。
当然、ある程度の尾行や追跡くらいはやってのけるだろう。
もしかしたら、寮の中に既に忍び込んでいる可能性もある。

多くを考えるほど、千雨の頭はますます混乱した。

 

 

 

そして今。

彼女の目の前で、彼女を更なる混乱へ陥れる事柄が起こっていた。

 

「坊ちゃん♪ もっと詰めないとほかの人が座れません♪」

「この車両には今、俺らを含めて6人しかいない。そして、全員席に座っているだろう?」

 

 

国級だ。
この間、新任教師をアクロバティックな蹴りでのした国級だ。
走力関係の陸上競技で世界『真』記録を持ってる国級だ。
しかも、明らかにメイド服と分かるような服を着た女と一緒だ。
月戒は嫌そうな顔をしているが、隣の女は悦に入っている。
嫌がる月戒に執拗なまでの頬擦りをしていた。

 

千雨は無視しようと思い、その席にとどまった。
どうせ後数分なのだから、下手に動くより座っていたほうが良いという算段だ。

 

「よぉ、長谷川。今から映画を見に行くんだが、一緒にどうだ?」

「あぁら♪ 月道坊ちゃんに寄り付くクソ虫……いえ、御学友の長谷川さんではないですか!」

 

……気付かれた。
このドギツイ変体どもに気付かれた。
間髪いれずに千雨は思った。

と、月戒だけが千雨に歩み寄ってきた。
よく見ると、先程まで月戒がいた場所にも月戒がいる。
非科学的だが、分身しているようだ。

ちなみに、本来の分身の術とは麻薬を使ったものだったらしい。
幻覚作用で増えているように見せかけていたとか。
まぁ、月戒はそんな小細工は使用していないのだが。

 

 

「人違いです」

「ふざけんなよ。助けてくれよ。俺とコイツだけで映画に行くの、ホントは辛いんだよ」

「だから人違いです。他を当たってください」

「マジで頼むって。俺このままだと狂っちゃうよ。てか、もう2・3回発狂しかけてるよ」

「あの……あんまりしつこいと警察呼びますよ」

「……も…………ょ〜ん」

「は!?」

 

 

 

 

千雨の頬に冷や汗が流れる。
一般人は知らないその一言に、千雨の汗腺は著しく刺激される。
ダラダラと流れ出る汗をよそに、月戒の言葉はより明確に聞こえてきた。

 

「今日も…………は、……ぴょ〜ん」

聞こえる。
だんだんはっきりと聞こえる。
それに比例して、千雨の冷や汗もだんだんはっきりと流れ出てくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日もちうはキレイだぴょ〜ん」

 

 

 

 

「やめろよ気持ち悪い!」

「……じゃあ、こうしよう。ついて来てくれないんだったら、学園都市の半分を今から消し炭にする」

月戒の目は座っている。
強行手段に出ることは滅多に無い彼だが、今日は一味も二味も違った。
人間とは、危機に立たされることで本性を現すという。
国級月戒もそれに然り。
『人類みな兄弟』から『自分最優先思考』に切り替わっていた。

 

 

「さらに認可してくれない場合は、西日本か東日本のどちらかを消し炭にする」

「……マジでそんなことできるのか?」

「できる。俺の能力一気に開放すれば、50秒くらいでできる」

「冗談よせよ。わかった。ついてってやるから、な?」

「……ありがとう! 本当にありがとう!」

 

 

自分のお人よしが嫌になる千雨だった。
だが、ずっと後に、国級月戒が自分以上のお人よしだと知ることになる。

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「いやぁ、なかなか面白かったな。少林サッカー」

「そうか? 少林寺拳法であんな風にはならねぇだろ?」

「いんや。アレくらい『気』を極めていると、アノ程度のことはできるぜ?」

「じゃあ、『鉄の足』とかやってみろよ。足技は得意なんだろ?」

「無理だ。俺の余ってる『気』は、ぜぇぇぇぇぇんぶ、付加能力に持ってかれてるんだよ」

 

うだうだ言いながらも、映画館から二人は出てきた。
二人というのは、月戒と千雨である。

 

 

黒蓮はどこに? と思うかもしれないが、答えは単純明快だ。
映画館のイスに未だに座っているのだ。

……そう。
月戒が先ほどまで、映画の上映時間中ずっと座っていた椅子に、だ。
彼女は月戒のぬくもりを感じたいが為に、上映前から狙っていたのだ。
で、上映が終わって席を立つと同時に、

「あら? 財布を落としてしまったようです。お先に行っていて下さいな」

と、普段使わないような奇妙な言葉を使って、月戒と千雨を先に行かせたのだ。
そんなことは分かりきっていた月戒だが、『黒蓮から開放されるなら』と、放っておいたのだ。

 

 

 

 

 

 

で、今のような珍奇極まりないカップリングで街を闊歩しているわけである。

 

「ったく。お前らの『気』とかはよくわかんねぇな」

「何なら教えてやるぜ? お前みたいにキレイだと、良くない目にあったりもするだろ?」

千雨の顔を覗き込むようにしてみながら、月戒は言葉をかける。
千雨は、キレイ、と言われたことは素直にうれしかった。
が、ふぃと顔を背けて千雨が吐き捨てるように言う。

 

 

「お前らみたいなバケモノと一緒になるなんてまっぴらゴメンだ」

「バケモノって……元々は普通の人間だったんだぜ? ちょっと足が速いだけの、ふっつ〜の人間だ」

そう言って、月戒は自分の足に視線を落とす。
そして、パンッ、と軽く自分の足を叩いてみせた。
彼の人ならざるものの象徴である、誰よりも早く走れる足。

千雨はバツが悪くなった。
よくよく考えれば、今までの月戒の行動から『他人より上にいることの悦び』は感じられない。
むしろ、『異形であることの苦渋』は、よりいっそう色濃く感ぜられた。

 

「そう。そういう風に、自分の誤った言動には罪悪感を感じなきゃならない」

「だれも罪悪感なんか感じてないし、私が間違ってるとも思ってない」

「嘘つくな。お前今、ちょっと辛そうな顔したぜ?」

にやりと笑って、月戒は答える。
「こいつ分かってたな」と思いながらも、千雨は黙っていた。
それに気付くことにも、きっと月戒は気付いているからだ。
だから、正直に謝ることにした。
滅多に謝る事のない千雨だが、仕方なく、誠心誠意謝ってみることにした。

 

「……悪かったな。嘘ついて。それと、気分悪くして悪かった」

「ま、これを機に気をつけてくれ。それと、謝罪のお詫びに何か奢ってやる」

やっぱり分かっていたらしい。
ちょいとばかりムカついたが、心遣いには感謝した。
歪曲した会話の進み具合ではあったが、月戒の優しさは感じ取れたのだ。
千雨の気分が悪くなることが分かっていたので、なんとか使用と試みたようだ。
だから、ちょいとばかり嬉しかったりもした。
……でも、千雨はその気遣いを受けることはできない。
No1ネットアイドル『ちう』としての地位を保つために。

 

「いいよ。今ダイエット中なんだ」

「じゃ、カロリー低いとこ選んでやるよ。なんなら俺が作る」

「だから、いいって言ってるだろ?」

「人の好意は受けてくれよ。おりいった話もあるからな」

「私は無い」

「国級第二選抜特殊部隊、通称『ギャザー・ナイツ』についてだ」

 

 

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「ま、簡単に言えば、機密漏洩防止と機密奪取が主な目的だ。
 もちろんだが、世界中の腕利きハッカーを招集して編成されている。
 ヒサ兄も月一くらいで参加するらしいから、万が一の事も起こりえないだろ。
 俺が話を通せば優遇してもらえるだろうし、休みも増やそう。
 なんだったら、休みを週6日にしたっていい。
 給料の方も、他の奴らの3倍はくれてやる。
 盗聴器着用の義務の放棄も、例外的に認めさせてやるぜ?
 どうだ? これだけの好条件でも入隊する気は無いのか?」

 

テーブルを挟んで、月戒は千雨に言った。
簡単に言うならば、スカウトの話なのだ。
が、それにしてはチョット内容が変わっている。
優遇されすぎた条件に、千雨は何かしらの違和感を感じていた。

でも、今は目の前の光景に注目すべきである。
月戒の横には、既に11個のパフェの容器が並べられている。
12個目のパフェも難なく平らげ、『チョコレートパフェ追加〜!』ときたもんだ。
千雨自身も、2つ目のパフェをスプーンでつつき始めていたが、度肝を抜かれていた。

 

 

 

「ま、ようは私にどうしても入隊して欲しいってことか?」

「そういうことだ。国級は現段階に於いて、長谷川千雨の力を必要としている」

「なんでだ? そりゃ、クラッキングとか得意だけど、もっと凄いのがいるだろ?」

千雨の言うことはもっともだった。
世界中には、千雨など足元にも及ばないような優秀なハッカーがいる。
その1人である国級コヘレトが、千雨に助力を求めるなどおかしな話だ。

千雨の不満に納得したかどうか走らないが、月戒はあまり間を置かずに会話を続ける。

 

 

「そうじゃない。お前には、俺たち兄弟姉妹のように素質がある」

「バケモノになる素質か? そんなもん、コッチから願い下げだ」

「そういうな。付加能力、使えると笑えるくらい便利なんだぜ?」

そういって、月戒は伝票を手に取った。
それを千雨に見えるようにして、両手でピンと伸ばす。
すると、その伝票に変化がおきた。
最初に書かれていたのは『チョコレートパフェ2つ』であった。
だが、今伝票に載っている文字は『コーヒー2つ』である。
自分の目を疑う千雨だが、手元を見てさらに驚く。
先ほどまでチョコレートパフェの容器だったものが、コーヒーカップに変わっている。
しかも、手元にあったはずのスプーンも、コーヒー用の小さなものになっていた。

 

 

 

「非戦闘型付加能力、『トリック・ミラー』だ。効果は、対象への屈折率の強制変更。
 弱点といえば、例えばナイフをフォークに変えても、本質的にそれはナイフであること。
 つまり、目標の形状自体は全く変わらないってことだな。
 俺の場合は、主に変装の補助とかでよく使うんだよ。目とか耳とかにな」

「1つだけじゃ、なかったのか?」

「いつ俺の付加能力が1つだけだと言った?」

千雨は手元のスプーンをなぞるように触れていく。
すると、何も無いはずの部分に手ごたえが感ぜられた。
その途端、視界が全て元に戻った。
パフェもスプーンも伝票も、全てが元通りになっていた。

驚愕する千雨に、月戒は続ける。

 

 

「ま、いるかどうかはお前次第だ。勘定は任せろ。また奢ってやるぜ?」

千雨は席を立つと、早々とその場を去った。
やれやれと肩を持ち上げる月戒。
だが、千雨の気持ちが揺らぐのを、月戒は確実に感じ取っていた。
そして、千雨が近日中に味方になることも。
目の前にある13個目のパフェに取り掛かりながら、月戒はほくそえんでいた。


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