さくらが、さつきのネガイを叶えた翌日。
さつきは、布団の中で寝ていた。
「う〜ん……」
さつきは、ネガイの影響か寝ぼけている。
「はっ、此処は何処? 私は……」
窓から差し込む光に当たっているのに身体が灰にならないのにさつきは気づいていない。
「ひ、光が…… 灰になっちゃう」
慌てて影に逃げ込んだ。
「あれ? 日の光に当たっていたのに……」
「如何やら、太陽の呪縛から開放されたようね」
突然掛けられた声にさつきは、振り返った。
「えっ、太陽の呪縛から解き放たれたって、如何言う事?」
「貴女のネガイが叶ったのよ。 日の光に当たっても灰にならないのが其の証拠よ」
アルクェイドは、言った。
「起きた所で悪いけど侑子が呼んでいるわよ」
「侑子さんが?」
「多分、仕事の事と思うわよ」
さつきは、アルクェイドに付いて行った。
「気分は、如何?」
侑子は、さつきに聞いた。
「日の光に当たったのに身体が灰に……」
「貴女のネガイは、叶ったわ。 約束どおり対価分、働いてもらうわ!」
「ネガイが叶ったて、如何言う事なんですか?」
「日の光を身体にに受けても灰にならなかったのが其の証拠よ。 貴女は、太陽を克服したの」
「私が、太陽を…… 信じられません」
「早速で悪いんだけど、宝物庫の整理お願いね…… 場所ややり方は、四月一日が知っているから分からない事は聞きなさい」
さつきは、宝物庫の整理へ向かった。
所狭しと置かれたモノを見てさつきは、気が遠くなった。
「何なの? この状態……」
「たった一週間でこうなるんだ!」
四月一日は、宝物庫の前で言った。
「所で、彼方は誰ですか?」
さつきは、四月一日に聞いた。
「四月一日君尋。 四月一日と書いて四月一日って言うんだ!」
「へぇ〜四月一日ね……」
さつきの喉がゴクっとなった。
「四月一日の血、美味しそう……」
四月一日は、逃げ腰になりながら言った。
「血って、あんた。 俺の血を飲もうとしているのか!」
「安心して、人を襲って血を飲まないと決めているから……」
「あんた、吸血鬼なのに血を吸わないなんて変っているよ」
「血液パック一つで、1週間は吸血衝動を抑えられるから」
「所で、名前なんて言うの?」
「私? 私は、弓塚さつき。 半年ほど前、三咲町で起こった連続殺人事件で死んだの……」
さつきの言葉に青くなる四月一日。
「三咲町って、俺の住んでいる隣町じゃんか!」
「良くロアに狙われなかったわね」
「俺が狙われる?」
「彼方の血は、吸血鬼にとってもご馳走なのよ。 なりたての死徒が自立できるほどの……」
侑子の声に二人は、振り返った。
史上最大の魔法大戦
第五話『さくらと異世界』
「如何言う事ですか? 侑子さん」
さつきは、侑子に聞いた。
「四月一日は、特殊な体質なの。 其の特殊な体質と言うのは、『アヤカシを視、引き寄せる体質』。
四月一日に流れる血が、アヤカシを呼び寄せるのよ……」
「アヤカシを呼び寄せるて……」
「さつきちゃん、四月一日美味しそうだったでしょう」
「血を吸ったら美味しいだろうな、と思いました」
「そうでしょう。 アヤカシが喉から手が出るほどのご馳走なのよ」
「侑子さん、ヒトのことをアヤカシのご馳走呼ばわりしないでください!」
「あら、そうじゃない? 『女郎蜘蛛』に右目食べられたの何処の誰かしら」
侑子の言葉に反論できない四月一日。
「百目鬼くんから右目の半分貰ったの忘れたのかしら?」
「くっ……」
其の時、約束どおりさくら達がやって来た。
「侑子。 さくらさんたちが来たよ」
侑子に声を掛けるアルクェイド。
「四月一日とさつきちゃんは、其のまま宝物庫の整理を続けなさい」
四月一日とさつきに命じると侑子は、宝物庫からさくら達の待つ部屋へ向かった。
「いらっしゃい。 さくらちゃん」
「おはようございます。 侑子さん」
「早速で、悪いけど行って取ってきて欲しい物があるのよ……」
「何処へ言って何を取って来れば良いんですか?」
さくらは、侑子に聞いた。
「『異世界』……」
「異世界!」
「チョイまちい! 幾らなんでもさくらには、酷じゃ……」
「心配性だね。 ケルベロスは…… 行って貰う所は、『阪神共和国』」
『阪神共和国』問い言葉を聴いてケルベロスは、興奮気味になった。
「『阪神共和国』。 えぇ、響きやないか!」
「初めての異世界に一人で行かせるのも可愛そうだし…… クロウの創った月とケルベロスが付いていればチョッカイ出す者もいないでしょう」
「はよう、行こうや」
ケルベロスの耳に何も入っていない。
「ケルベロス。 あまり、さくらさんを困らせるのでは無いですよ」
ケルベロスにエリオルはクギをさした。
「ケロちゃん!」
「さくら、そんな怖い顔せんといて〜な」
さくらの睨みにケルベロスは、縮み上がった。
「それじゃ、話もついたし、さくらちゃんに自力で異世界に行って貰いましょう」
さくらは、星の杖を手にケルベロスと月は、真の姿で侑子のミセの庭に立っていた。
さくらの周りに星の魔法陣が現われると、さくらは異世界へ渡る呪文を唱えた。
呪文を唱え終えるとさくらと月とケルベロスの姿がミセの庭から消えた。
阪神共和国―――
「今日もえぇ、天気やな」
男は、空を見上げて言った。
「ん? 空がビロ〜ンと……」
其の瞬間、さくら達が目の前に現われた。
「無事、異世界に来れたみたいだけど…… ケロちゃん、此処何処か分かる?」
さくらは、ケルベロスに聞いた。
「此の空気、間違いないで。 此処は、阪神共和国や」
「あんさん等、何者なんや?」
男は、さくら達に聞いた。
「そう言う兄ちゃんは、誰なんや?」
「わいは、有栖川空汰。 そんで、此処は『阪神共和国』や」
「其れは、わかっとるがな…… 昔、クロウと魔女の姉ちゃんと来た事あるからな」
「ん? そっちの譲ちゃん、何時か会たことあるような……」
空汰は、記憶を辿った。
「思い出した。 何時かモコナ使って旅していた譲ちゃんに似てるんやった」
「兄ちゃんは、侑子の事、知っとるんやな」
「何言っとるんや! 借りがなかったら、侑子さんの所から来た客の面倒など見てへん……」
「ケロちゃん、この世界妙な気配がいっぱいするよ」
さくらは、ケルベロスに言った。
「其れは、ワイも気づいとる。 之は、『巧断』や」
「『巧断』って何?」
「其れは、わいがおしえたる。 まぁ、立ち話もなんや、わいがやっている下宿屋に来いや」
「其れもそうやな…… 月、如何したんや? 」
ケルベロスは、月に聞いた。
「誰かに見られている気がする……」
謎の国―――
「次元の魔女以外にも異界に自由にいける者がいるとはな…… 其れが、クロウ・リードの血を引く小娘とはとは意外だ!
しかも、玖楼国の姫と同じ魂を持つ者」
謎の男は、鏡に映ったさくらを見て呟いた。
「クロウ・リード。 余計な事をしてくれる…… 『夢は、終わらせなければならない』だと! 貴様が出来なかった事をこの私が成し遂げてやる。
どれだけの犠牲が出ようと、ヒトの血が流れようと知ったことではない。 必ず、次元を超える力は手に入れる」
日本―――
「飛王、幾ら望んでも失ったモノは二度と元には戻らないのよ…… そうでしょ、エリオル」
「えぇ、彼のネガイは叶う事はありません。 そして、『夢は、終わらせなければ』なりません」
エリオルと侑子は、『夢』の事を…… 飛王の事を話していた。
阪神共和国―――
「此処が、わいとハニーがやっている下宿屋や」
「此処が、下宿屋なんか? 辛気臭い部屋やな」
ケルベロスは、部屋の中を見て言った。
「ハニーが買い物から戻ったら色々、この世界の事話たる」
空汰は、また話をきった。
「あんさんら、侑子さん所から来たんやろ? 対価払って、送ってもらったんとちゃうんか」
「魔女の姉ちゃんに対価は、払ってへんで!」
「じゃぁ、如何やって次元を渡って来たんや」
「さくら…… ワイらの主は、自力で次元を越えて来たんや」
「自力で、越えた?」
「魔女の姉ちゃんやクロウもやけど、何度も次元を越えれる者なんて滅多におらへん。 更に言うと、さくらは『時空管理局』にも縁があるねん」
「『時空管理局』? 以前、わいの所にも捜査官が来おったで……」
「あんさん、次元犯罪でもしおったんか?」
ケルベロスは、空汰に聞いた。
「ちゃう、わいは何もしてへん…… 色んな世界に干渉した、飛王とか言う人物の事を聞きに来たんや。
羽根が、色んな世界に落ちておきる筈のない現象が起こるようなったらしいんや」
「あんさんは、管理局に目付けられるような事はしてへんのんやな!」
「わいが、したのは此の世界にいる間面倒見てやっただけや」
「じゃぁ、次元犯罪に手を染めたわけじゃないんやな…… で、何て言うヤツが話を聞きにきたんや?」
「確か、『ホルゲンリッター』とか言ってたで」
「『ホルゲンリッター』は、さくらが創ったんや。 しかも、肉体と魂まで与えてあるんや」
「道理で、ハニーが感じるわけや」
其処へ空汰のハニーが帰ってきた。
「ちょうど、ハニーも帰ってきたし紹介しといたる」
空汰は、ハニーの横で言った。
「嵐です」
「以前、此処に来た侑子さんの客にも言ったんだが、嵐は元巫女やから霊力ちゅうのがそなわっとるんや」
「彼方達は、かなり強い力を持っているようですね…… 彼方達みたいに強い力を持つ人間は、此の世界にいません」
「此の世界の者には、必ず『巧断』が憑いとる」
「例え異世界から来た者でも必ず巧断は憑きます。 唯、其方のヒトでない方には憑きません」
嵐は、月とケルベロスがヒトでない事を見抜いた。
「其れで、あんさん等、此の世界に何しにきたんや」
空汰は、本題を聞いた。
「此の世界には、『星の雫』を取りに来たんです」
「其の『星の雫』と言うヤツを侑子さんが取って来いといったんやな…… 『星の雫』は、阪神共和国でも此処200年以上見たと言う者は居らんで」
「『星の雫』の現物を見たヒトは、居ません。 入手するだけでも大変な物なのです。 幸い、今年は『星の雫』が手に入る可能性が最も高い年なのです。
幸運な事に、今回は阪神共和国に『星の雫』が現われると言う事です。 之以上のことは、分かりません」
「いい伝やけど、毎回『星の雫』が現われた時は、けが人が続出したとちゅうことや。 でも今回の出現、如何いう訳か早まったらしい……
若しかしたら、あの羽根の影響かもしれんちゅうことや」
「羽根、ちゅうと玖楼国の姫の羽根の事やな……」
「其の羽根が、影響したとしたら大変な事になります。 唯でさえ大きな力を持った『星の雫』がどんな事を引き起こすか予想できません。
未来を見通す力が強いヒトがいれば、真相が分かるのですが……」
「そう言う事なら、あんさんの目の前におるで」
ケルベロスは、言った。
「さくらさんが、未来を見通すことが出来ると言うのですか?」
「さくらは、未来を見通す力を制御出来るんや! まぁ、本人が望まな発動する事はないんやけろな……
で、何時が『星の雫』の出現日何や?」
「噂では、明日言っとたな……」
「ヨッシャ、さくら未来見通す力を使うってみい」
「何で、ケロちゃんが命令口調になるのよ」
「其れは、そうやけろ…… 魔女の姉ちゃんに言われた物を手に入れんと帰れへんで」
未来を見通す力を使う気が無いさくらをケルベロスが変えた。
「一寸だけしか見ないからね……」
そう言って、さくらは未来を見通し始めた。
次回予告
「『星の雫』って何なのだろう……」
「あの姉ちゃんの事だから、酒に関係する物とちゃうか?」
「クロウも言っていたな、酒には目がないと」
「ちゅうっと、『星の雫』は、酒に関するものやな」
「次回、史上最大の魔法大戦『星の雫』」