「ご馳走様!」

 6人は、声を揃えて言った。

「お粗末さまで……」

 四月一日(ワタヌキ)は、食器の山を片付け始めた。

「まったく、何て多さなんだ! 大食いの皿だけでも何枚あるんだよ」

 雪兎が平らげた皿の数を見て四月一日(ワタヌキ)は、呟いた。


四月一日(ワタヌキ)! 其れが終わったら来なさい」

 侑子(ユウコ)の声が響く。

四月一日(ワタヌキ)は、手を休めず皿を片付けていく。

「今日は、何でこんなにも忙しいんだ! 之以上動けば倒れてしまいそうだ」

 過労気味の四月一日(ワタヌキ)が呟いた。

何時もの倍以上の時間を掛けて後片付けを終えた。

「ぷはっ〜 生き返る」

 四月一日(ワタヌキ)は、冷たい麦茶を飲んで復活した。

「おっと、侑子(ユウコ)さんが呼んでいるんだった」

 侑子(ユウコ)に呼ばれているのを思い出して侑子(ユウコ)の元へ急いだ。


「さっき言ってた用て何ですか?」

「また、お客さんが来るのよ…… しかも、吸血鬼のね」

「吸血鬼ですか?」

 驚く四月一日(ワタヌキ)

「そう、吸血鬼よ。 一人は、『真祖の吸血姫』、もう一人は、吸血鬼になったばかりの死徒二十七祖候補の子よ」

侑子(ユウコ)さん。 其の、『真祖』とか『死徒なんたら』と言うのは、何なんですか?」

「もう少ししたら此処へ来るわ。 其の時に説明してあげるから、上質のワインを用意しておきなさい!」

「ワイン何て何処にあるんですか!」

「酒が沢山おいてある所にあるわ。 自分で探しなさいね」


 四月一日(ワタヌキ)は、言われるがままワインを探しに行った。





 史上最大の魔法大戦


 第四話『さくらと真祖の姫君と弓塚さつき』




侑子(ユウコ)さん、いったいどれだけの酒を集めているんだ?」

 四月一日(ワタヌキ)は、あまりの酒の多さに驚いた。

「ワインだけでも何種類もあるし…… どれが良いのか分からないや」

 其処には、侑子(ユウコ)秘蔵の酒やワイン等が沢山あった。

沢山あるワインから上質そうなのを選んで炊事場へ行き冷蔵庫で冷やした。


侑子(ユウコ)さん、適当にワインを選んで冷やしておきましたよ」

「ご苦労様。 あぁ、ご苦労様次いでで悪いのだけど……」

「何ですか?」

「之から来るお客さんに出す料理を作りなさい!」

「はぁ? また作るのですか!」

「但し、ニンニクの入らないのをね……」

「何故、ニンニクなんですか?」

四月一日(ワタヌキ)でも其れぐらい分かるでしょ。 吸血鬼がニンニクが駄目だってことぐらい……」

 四月一日(ワタヌキ)は、手をポンとして納得したように言った。

「そう言えば吸血鬼は、ニンニクが駄目だったんでよね」

「食べる物に関してはね」

「他にも苦手な物があるんですか?」

「あるわ。 一般的に知られている物以外にも……」

「そうなんですか」

「其れはおいといて、四月一日(ワタヌキ)。 ステーキを焼きなさい!」

「吸血鬼とステーキに何の関係があるんです?」

「食料よ。 吸血鬼のね……  そうこう言っている内に見えられたようね」


 ミセの中に二人の少女が入って来た。

「いらっしゃい。 『真祖の吸血姫』」

「久しぶりね。 侑子(ユウコ)!」

 互いに挨拶をする侑子(ユウコ)と吸血姫。

「上がってちょうだい。 そちらの死徒のお嬢さんも…… バイトくんに料理を用意させるから」

 侑子(ユウコ)は、客を招きいれた。

通された部屋には、エリオル、ルビー、スピネル、さくら、(ユエ)、ケルベロス、知世がいた。

 (ユエ)、ケルベロス、スピネル、ルビーは真の姿に戻っていた。

「久しぶりだな! 『真祖の吸血姫』アルクェイド・ブリュンスタッド」

 エリオルが言う。

「そう言う、クロウ…… エリオルもね。 彼方達も変ってないわね、(ユエ)にケルベロスにルビーにスピネル!」

「そう言う、アンさんも変ってへんな!」

 ケルベロスがアルクェイドに言う。

「あら。 ケルベロス、昔と喋り方変ってない?」

「長い事、大阪におったさかいに大阪弁がうつってもうたんや」

「じゃぁ、クロウが死んでクロウカードの本が大阪にあったんだ」

「せやけど、何で魔王殺しの姉ちゃんがこんな所におるんねん」

「一寸、ロアに用があってね……」

「『アカシヤの蛇』ミハイル・ロア・バルダムヨォンですね」

「エリオルくん、『アカシヤの蛇』って何?」

 さくらは、エリオルに聞いた。

「その昔、其の『真祖の吸血姫』に自らの血を吸わせて暴走させた張本人ですよ」

「ねぇ、エリオル。 其の娘、誰なの? 凄い力を持っているようだけど……」

「さくらさんですか? さくらさんは、クロウの『後継者』でクロウの遠い血縁ですよ。 アルクェイド」

「ふ〜ん。 クロウの『後継者』ね…… 道理で凄い力を感じるわけだわ」

「其方の娘は、貴女に関係があるようですね」

 エリオルは、アルクェイドに言う。

「この娘は、私の孫みたいなものよ」

「と言う事は、『アカシヤの蛇』を死徒にしたのはアルクェイド貴女ですね。 正格には、ロアが死徒になる為に血を吸わされたですか」

「其の娘、既に死徒二十七祖に匹敵する力を持っているわね。 死徒にどのくらいでなったの? 弓塚さつきちゃん! 」

「えぇと…… 確か、3日ぐらいかな〜」

 さつきは、答えた。

「そう…… 吸血されて短期間で死徒になる者なんて、いないわ。 普通、死者が死徒になるにしても才能がある者でも長期間かかるものよ」

「私って、そんなに凄いんですか?」

「凄いなんて物じゃないわ。 なって数日で自我が確立するなんてあり得ないわ。 普通、何段階も踏んでやっと死徒になるのよ」

「そう言えば、私、血を吸われて気が付いたら血が吸いたくなっていたんです」

「ヒトからイキナリ吸血鬼になった事は、凄い力の持ち主だったのね」

「私って、そんなに凄い力を持っているんですか?」

「さつきちゃん、『固有結界』は使えるんでしょ」

「何故、私が『固有結界』使えると分かったんですか?」

「読み解くモノには、分かるのよ。 名前と誕生日が分かれば……」

 さつきは、吸血鬼になって半年で『固有結界「枯渇庭園」』をモノにしていた。


「さて、話は、此処まで…… 二人には、料理を堪能してもらいましょう」

 侑子(ユウコ)は、四月一日(ワタヌキ)に料理を持ってこさせた。

並べられた料理を見てアルクェイドは、言った。

「対価もなしに、こんな料理を食べて……」

「之から数日間、此処にいるつもりなんでしょ?」

「其のつもりだけど。 急ぎの用もあるの」

「急ぎの用と言うのは、さつきちゃんの事ね」

「そうなのよ侑子(ユウコ)! 本来なら、時間を掛けて日の光を克服させたいんだけど……

死徒二十七祖候補の何人かが、クロウ・リードに怨みを持つ一派と接触したから急がないといけないの」

「ヤハリ、接触を図る者がいましたか…… 下手すると死者や死徒の山が出来るかもしれませんね」

「死者や死徒の山って如何言う事?」

「言った通りですよさくらさん。 確実に、さくらさんが見た予知夢が現実に起こると言う事です。

回避する事は、難しいですが、被害を軽減する事は可能かもしれません」

「じゃぁ、麻帆良とか言う所が…… 予知夢の通りに死体で埋め尽くされるというの?」

「其れを減らすには、ずば抜けた力を持つ者が戦力に必要です。 この二人が、加われば犠牲者は減るでしょう」

「さつきちゃん。 貴女のネガイは?」

 侑子(ユウコ)は、さつきに聞いた。

「日の光の下を歩きたいです」

 さつきは、ネガイを侑子(ユウコ)に言った。

「いいわ。 貴女のネガイ、さくらちゃんが叶えるわ」

 侑子(ユウコ)は、さくらを指してっ言った。

「ほ、ほぇ〜!」

「一寸、侑子(ユウコ)、大丈夫なの? こんな娘に任せて……」

「大丈夫よ。 さくらちゃんなら、『絶対、大丈夫だよ』」

「其の、『絶対、大丈夫だよ』って何? 何かの呪文?」

 アルクェイドは、疑問をぶつける。

「無敵の呪文」

「無敵の呪文?」

「此のさくらちゃんの口癖よ。 困難に直面すると言っているのよ」

「本当に、此の娘にやらせるの? 幾ら魔力が強くても技術が無いのでは意味がないわ」

「だから、やらせるのよ。 さくらちゃんが、こっちの世界でやって行くためにね……」

 侑子(ユウコ)は、さくらを指導するつもりでいる。

「早速、さくらちゃんにさっちゃんのネガイを叶えてもらいましょう」


 さくらとさつきは、ミセの中庭に出ていた。

「じゃぁ、さくらちゃん。 手早く終わらせてね」

 侑子(ユウコ)は、呑気な声で言う。

気持ちの整理も付かないうちにはじめる事になったさくら。


「さつきさん?」

「はっ、はい!」

「貴女のネガイは?」

 さつきに聞くさくら。

「太陽…… 日の光の下で歩きたいです」

侑子(ユウコ)さんが言っていたとおり対価がいるけど払える?」

「日の光の下で歩けるなら何でも払います」

 其れを聞いて、さくらは侑子(ユウコ)のほうを見た。

「さつきさん、貴女の対価は、『関係性』『時間』を貰うわ。 と言いたいけど、代わりに此処で働きなさい!」

「それで、良いんですか?」

 聞き返す、さつき。

「其れで、良いと私が言っているのよ」


 さつきの周りにさくらの魔方陣…… 星をモチーフにした魔法陣が現われた。

「ミハイル・ロア・バルダムヨォンによって死徒にされし、弓塚さつき…… 『白き姫君』アルクェイド・ブリュンスタッドの孫娘にあたる彼の者に

太陽、日の光の祝福を与え太陽の呪縛より解き放て!」

 さつきを包んでいた光が消えるとさつきは、その場に倒れた。

「ルビー・ムーン。 寝室に運んであげてください」

 四月一日(ワタヌキ)に運ばせると問題が起こると見てエリオルは、ルビー・ムーンにさつきを運ばせた。

「一寸、寝ちゃったけど本当に太陽の呪縛から解き放たれたの?」

「大丈夫ですよ、アルクェイド! さくらさんは、クロウ・リードのネガイを叶えた実績があります」

「クロウのネガイって何なの?」

 アルクェイドは、エリオルに聞いた。

「『此の世でいちばん強い魔術師でない自分です』 私は、クロウ・リードであった時、余りに強い魔力に少々困っていました。

何より、先のことが全て分かると言うのは生きて行くうえで、あまり愉快な事ではありません。 だから、私はクロウ・リードとして

死ぬ時に魂を二つに分けました。 一つは、わたしエリオルとさくらさんのお父さんである木之本藤隆さんに……」

 エリオルは、話をつづける。

「けれど、魔力を分けることは出来ませんでした。 クロウ・リード自身の力をもってしても……」

「クロウ・リードに出来ない事があるなんて思えないわ」

「クロウ・リードの魔力で出来なかったことが出来るのは……」

「クロウを凌ぐ魔力を持つさくらちゃんだけって事?」

「そう言う事です」

「さつきの状態は如何説明するのよ?」

「急に体質が変った影響です。 本来、吸血鬼は長い時を掛けて日光に慣れるものです。

今回は、魔術で行なった為さつきさんの魔力が消耗して眠られただけです」

「明日になれば、日の光の下で行動できると言うの」

「問題ないでしょう……」


「さて、用も終わったし飲みましょう…… アルクェイドは、何を飲む?」

「ワインは、先ほど頂いたから冷酒にしようか」

「エリオルとさくらちゃん、知世ちゃんも何か飲む?」

「お誘いは、あり難いのですが、そろそろ帰らないとお母様が心配しますから……」

 知世は、誘いを断った。

「残念ね…… 明日、遊びにいらっしゃい」

 侑子(ユウコ)の言葉に頷いて、さくら、知世、ケルベロス、雪兎は、ミセを後にした。


「さくらちゃん達、帰ったし今宵は飲みながら昔話でも如何? クロウ……」

「そうだな…… 『白き姫君』にも加わってもらってあの頃の話でもしよう」

 侑子(ユウコ)、エリオル、アルクェイドの談笑は夜遅くまで続いた。

四月一日(ワタヌキ)は、次々空になる酒を談笑が終わるまで運び続けたのだった。





 次回予告


侑子(ユウコ)さんのミセで夏休み一杯、手伝うことになったんだけど……

ほぇ〜異世界に行って取ってきて欲しいものがあるって」

「さくらちゃん、がんばってください」

「行く世界は、『阪神共和国』」

「『阪神共和国』? えぇ、響きや無いか!」


「次回、史上最大の魔法大戦『さくらと異世界』」