エヴァの別荘―――

「ぼうや、始から飛ばしていけ!」

 エヴァは、ネギにアドバイスを言う。

「如何言う事ですか? 師匠(マスター)

「自分で考えろ! さくらに敵を無力化出来る方法など幾らでもあるだろ……」

「相手を無力化する方法ですか?」

 ネギも幾つか相手を無力化する方法を知っていた。


「じじい、サッサと試合を始めろ!」

 エヴァは、学園長に審判をするよう言った。

「何でワシに言うんじゃ。 エヴァ、お主がすれば良いじゃろう……」

「此の私にしろっというのか? 私は、坊やの師匠だぞ! じじい、関東魔法協会の長なら審判をするんだな」

「するしか無いのか……」

 学園長は、渋々審判をする事を決めた。

「ルールを説明する。 双方とも従者は二人まで。 勝敗は、ワシが勝負ありと判断するか、どちらか戦闘不能になるまれじゃ。

後は、此の空間全てがバトルフィールドで制限時間は無制限。 使う魔法は自由じゃが相手を死に至らしめる物は禁止じゃ。

其れさえ守れば、何でもあり…… ワシからのルール説明は、以上じゃ!」

 学園長は、双方にルールを説明した。


「それじゃ。試合はじめ!」




 史上最大の魔法大戦


 第二話『不思議な店』




「う〜ん、負けちゃったよ〜」

 ネギは、泣いていた。

「ぼうや、何時まで泣いている! 泣いている暇があったら何時ものメニューをこなすんだな…… 今日は、罰として何時もの二倍だ!」

「何でそうなるんですか? 師匠(マスター)〜」

 ネギは、涙目で言う。

「自業自得だ! 最初から全力で行けとアドバイスしといただろ…… 相手は、『クロウの後継者』。 始から、ぼうやに勝てる可能性は、殆ど無かったんだよ」

「でも……」

「でもも、ヘチマもあるかぁ! 油断していたぼうやが悪い…… 始に情報を与えていただろ、相手は此の世で最強の魔術師だと……

もう一度、チャンスをやる。 それで、負けたら更に倍にするからな」

 エヴァは、ネギに止めの一言を言った。

「なぁ、俺も加わってええか?」

 戦いたくてうずうずしていた小太郎がエヴァに聞いた。

「じじい、一人くらい増えてもいいだろ」

「まぁ、良いじゃろう…… さくらちゃん、構わんかの?」

 学園長の問いにさくらは、頷いた。

「では、二回戦はじめ!」

 開始と同時に小太郎は瞬動で、さくらとの間合いを詰めた。

(シールド)!」

 小太郎の攻撃は、『盾』(シールド)に阻まれて届かない。

さくらは、直ぐに呪文の詠唱に入った。

「彼の者達を闇の迷路へ閉じ込めよ! 『闇』(ダーク)『迷』(メイズ)!」

 瞬く間に、闇の迷路が出現しネギ、刹那、小太郎を飲み込んだ。

ただ一人、明日菜だけ難を逃れた。

 彼女が『魔法完全無効化能力者』(マジックキャンセラー)故だ。

「一寸、あんた! ネギや刹那さんを何処にやったのよ」

 明日菜は、言う。


 ネギと刹那、小太郎は、さくらの魔法…… 闇の迷路に閉じ込められていた。

「ネギ先生! 明日菜さん。 何処ですか?」

 刹那は、大声で仲間を呼んだ。

しかし、返って来る声はない。

「ネギ先生の気配が感じられない…… 其れに、此処は何処なんでしょう。 真っ暗で何も見えない」


 一方、ネギは―――

「此処は? 明日菜さーん、刹那さ〜ん、小太郎く〜ん!」

 ネギは、仲間を呼ぶ。 しかし、返事はない。


 もう一人、小太郎は―――

「ネギー! 明日菜ねーちゃん、刹那ねーちゃん!」

 小太郎も、仲間の名を呼ぶ。

「しかし、此処は何処なんや? 真っ暗で何も見えへで」

 ゴッツン!

小太郎は、闇の中を歩いていて何かにぶつかった。

「何かにぶつかった!」

 小太郎は、闇の中ぶつかった物を手探りで探った。


 ネギ、刹那、小太郎は、さくらの魔法によって作り出された闇の迷路を彷徨い続けた。

ネギは、魔法を使いたくても使えないでいた。 仲間が、暗闇の何処にいるか分からないからだ。

「此のままじゃ、何も見えない…… でも、攻撃魔法は明日菜さんたちが何処にいるか分からないから使えない。

せめて明かりがあれば……」

 ふと、ネギは、明かりを灯せばいい事に気づいた。

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル……」

 ネギが、呪文を唱え始めると闇が更に強くなった。

「えっ、闇が強くなった」

 ネギ、刹那、小太郎は、徐々に闇に飲み込まれていった。


「さくら、あの譲ちゃん『魔法完全無効化能力者』(マジックキャンセラー)や」

 ケルベロスは、言う。

「じゃぁ、魔法は効かないと言うの?」

「そう言うこっちゃ。 残る手は、一つだけや」

「そうか! 魔法が効かないのなら直接攻撃なら効くかも……」

 さくらは、そう言うと『星の杖』を元の大きさにし構えた。

しかし、闇の迷路は発動中である。

「あの構え、若しかして……」

 明日菜は、考えた。

さくらの構えは、中国拳法だった。


 数分後……

「其処までじゃ!」

 学園長は、試合を止めた。

さくらの攻撃は、明日菜の顔面数センチのところで止められていた。

 終了の合図を聞いてさくらは、『闇の迷路』を解いた。

『闇の迷路』が、解れると姿の見えなかったネギ、刹那、小太郎が現われた。


『闇の迷路』に捕らえられていた三人は、何が如何なっているのか判っていない。

 ネギは、辺りをキョロキョロ見渡す。

「明日菜さん、闇が闇が…… 怖かったです」

「何、泣いているんかい! ネギ」

 小太郎がネギの頭をポカッと殴った。

「イタイよ〜小太郎くん」

「其れより、何だったんだ? あの魔法……  ワイにも破れへん。 破るどころか、闇が強うなってあの様や」


「ぼうや、開始早々に『闇の迷路』に捕らえられおって……」

「えっ、『闇の迷路』ですか? 師匠(マスター)、『闇の迷路』てなんですか?」

「ぼうや、そんな事も分からないのか? 読んで如く闇に包まれた迷路に閉じ込められていたんだよ」

「閉じ込められてた? でも、出ようと努力してたんです」

「甘いな! あの『闇の迷路』は、今のぼうやに破る事は出来ん。 『闇の迷路』に閉じ込められた時点で、坊やたちの負けは決定していたんだ」

「如何言う事ですか?」

 ネギは、エヴァに聞いた。

「あの『闇の迷路』は、ぼうやの魔力では破る事が出来ないと言ったのだ。 さくらは、不世出の魔術師クロウ・リードの後継者……

更に言うと此の世で最強の魔術師。 ぼうやより、魔力量は遥か上だ。 私でも、破る事は不可能に近い」

師匠(マスター)でも、破る事が出来ないのですか?」

「あぁ、あのさくらとか言う小娘、全盛期の私の何十倍も魔力量は上だ。 強いて言うと、今の戦いも力を抑えていたな……」

「あれで、力を抑えていたのですか? とても抑えていたように思えなかったのですが…」

「さくらは、ごっつい魔力の持ち主や。 全次元世界含めて叶う者などおらへん。 攻撃魔法使うてたら其処の小僧、大怪我やすんでへんで」

 ケルベロスが言う。

「其れは、如何言う事だ! ヌイグルミ!」

「ワイは、ヌイグルミやない。 封印の獣『ケルベロス』やと、何度言えば分かるんや!」

「おいっ、今何って言った!」

 エヴァは、ケルベロスに聞いた。

「聞こえんかったんか? さくらは、全次元世界でも最強の魔術師やと言ったんや」

「ケロちゃん! 勝手な事したら、お菓子ヌキにするからね」

 さくらの言葉にケルベロスは、固まった。

「さくら〜其れだけは、勘弁して〜な〜」

 ケルベロスは、お菓子に弱いのであった。


 そして、約束どおりネギはエヴァにみっちり約束の罰を受けた。


 エヴァの別荘で、1日が経って一行は外に出た。


「さくらちゃん、之から学園内を見て回らんかね?」

 学園長は、さくらに聞いた。

「之から、次元の魔女さんの所へ行かないといけないんです」

「さくらちゃん、急がないと予定の時間に間に合わなくなってしまいますわ」

 知世は、さくらに言った。

「そうか…… それなら引き止めるわけに行かんな」

 学園長たちは、其の日は、一旦見送った。



 都内へ向かう車内で、さくら、知世、雪兎は話をした。

ケルベロスは、仮の姿に戻って知世のバックの中に隠れていた。

 さくらは、雪兎が勝手に(ユエ)に替わらないように抑えている。

目的の場所に着くと車を降りた。

「それでは、ご連絡したら迎えに来てくださいな」

 知世が言うとボディガードは、礼をして去っていった。


「さくらちゃん、本当に此処にミセがあるのですか? 私には、何も見え……」

 其の時、さくら達の前にミセが姿を現した。

「入って来いと言う事でしょうか?」

 知世は、さくらに聞いた。

「エリオルくんの知り合いがやっているミセだから心配ないよ。 入らないと待ち合わせの時間になるよ」

 さくらの後に、知世、雪兎が続いて敷地内に入っていった。


 ミセの中で主が気づいた。

四月一日(ワタヌキ)、何しているの? 四月一日(ワタヌキ)が、グズグズしているからお客さんが来ちゃったじゃないの」

侑子(ユウコ)さんが、アイスを作れって言ったからじゃないですか?」

 ミセの店主は、侑子(ユウコ)と言う。

「愚痴る暇があったら、お客さんにお茶を淹れなさい」

 侑子(ユウコ)四月一日(ワタヌキ)に命じると四月一日(ワタヌキ)は、炊事場へ消えた。


 さくら達は、マルとモロの案内で侑子(ユウコ)の待つ部屋に通された。

「いらっしゃい、さくらちゃん。 知世ちゃん、其れにクロウの造りしケルベロス、(ユエ)

 侑子(ユウコ)は、部屋の中から声を掛けた。

マルとモロが襖を開けると侑子(ユウコ)が待っていた。

「それにしても、久しぶりやな〜 最後に逢うてからどの位経ったんや?」

 ケルベロスは、侑子(ユウコ)に聞いた。

「そうね、最後に逢ってから可也、時が経っているわね。 まっ、此の話は、クロウ…… いや、エリオルが来てからにしましょう」

 侑子(ユウコ)は、茶を運んで来た四月一日(ワタヌキ)を見て話を止めた。

四月一日(ワタヌキ)、お茶を出すのが終わったらたこ焼きの準備をなさい」

「何で、たこ焼きの準備をしなければ、ならないんですか? 侑子(ユウコ)さんが、食べたくなっただけでしょ」

 四月一日(ワタヌキ)は、聞き返した。

「さくらちゃんの守護者『ケルベロス』ともう一人、好きなのがいるのよ。 『スピネル・サン』というクロウが創った守護獣なんだけど……」

「たこ焼き、早く焼いてんか?」

 たこ焼きの『た』の字を聞いた瞬間、ケルベロスの目が輝いた。

「ケロちゃんの食いしん坊。 幾ら、せがんでもエリオルくんが来ないと食べれないよ?」

「う〜、早く食べたい〜」

 四月一日(ワタヌキ)は、庭でたこ焼きを作る準備をしている。

四月一日(ワタヌキ)、早く焼け!」

 ケルベロス同様、待ちきれなくなった黒モコナが、四月一日(ワタヌキ)に命令口調で言う。

「あ゛、二匹して邪魔するな!」

 ラーグは、四月一日(ワタヌキ)が作った生地を舐めようとした。

「こら、舐めるな! 生地が減る」


「そう言えば、挨拶が途中だったわね」

 侑子(ユウコ)は、紹介を続けた。

「私は、壱原侑子(イチハラユウコ)。 侑子(ユウコ)でいいわ。  無論、偽名だけど……

で、此の子たちが『マル』と『モロ』。 因みにフルネームは、『マルダシ』『モロダシ』」

 マルとモロは、対象に侑子(ユウコ)に抱きついた。

「モコナ、コッチに来て」

 侑子(ユウコ)が呼ぶとモコナは、四月一日(ワタヌキ)の顔を蹴って侑子(ユウコ)の元へ行った。

「此のこが、モコナよ」

「モコちゃん、宜しくね!」

「おう、宜しく」


「それで、あの子がバイト君の四月一日(ワタヌキ)よ」

 侑子(ユウコ)が、四月一日(ワタヌキ)を指して言う。

侑子(ユウコ)さん、四月一日(ワタヌキ)って四月一日と書いて四月一日(ワタヌキ)なんでしょ?

若しかして誕生日、四月一日なんですか?」

 さくらは、侑子(ユウコ)に聞いた。

四月一日(ワタヌキ)の誕生日は、四月一日なのよ」

「さくらちゃんと同じ誕生日ですわね」

「うん」

 さくらは、頷いた。

「こんな事って、あるのかな? 観月先生も『此の世に偶然は無い。 あるのは、必然(ヒツゼン)だて』って言っていたけど……」

「そうよ。 此の世に偶然は無いわ。 あるのは、必然(ヒツゼン)だけ…… 四月一日(ワタヌキ)とは大違いね」


侑子(ユウコ)さんとお呼びすればいいのですか?」

 知世は、侑子(ユウコ)に聞いた。

侑子(ユウコ)でいいわ。 知世ちゃん」

「ここは、対価さえ払えば、どんなネガイでも叶えてくれるミセと柊沢くんからお伺いしていますけど本当なんですか?」

「えぇ。 対価さえ払えば、どんなネガイも叶うミセよ。 でも、ワタシに出来る範囲内に限ってだけどね」

「じゃぁ、モコナ、侑子(ユウコ)さんとクロウさんが創ったんだ!」


 侑子(ユウコ)とさくらは、気配に気づいた。

「エリオルが、きたみたいね……」

「スッピー、今回は、負けへんで!」



 次回予告

「どんな小さな出逢いで、出来事でも、必ずその後に影響を及ぼす。 ヒトの道筋は途切れなくずっと繋がっていくモノ。

どれほど小さなデキゴトでも たとえ、それがどれほど短いジカンでもキオクに残らずキロクにも残らなくても結ばれた縁は、消えない」 

「其の対価、僕が払いますよ」


「次回、史上最大の魔法大戦『さくらのネガイと対価』」

「アナタの願いかなえましょう」