都内の某所、此の世にあって此の世でない場所に其の店はある。


対価を払えば、どんな願いでもかなえてくれる店でアルバイトをしている高校生がいる。 



 其の名は――― 四月一日(ワタヌキ)君尋


彼には、悩みがあった。 其れは、特異な霊感体質である。


 アヤカシを見、引き寄せるのだ。


そんな彼に、最近、新たに(エン)が繋がった娘がいる。

 四月一日(ワタヌキ)も近いと感じた娘、五月七日(ツユリ)小羽(コハネ)だ。

彼女は、テレビ等で霊能師として出演しているのだ。




四月一日(ワタヌキ)、冷酒持ってきて〜」

 店の中から四月一日(ワタヌキ)を呼ぶ声がした。

「また、飲むんですか? 二日酔して知りませんよ」

 四月一日(ワタヌキ)は、空になった酒瓶を見て言った。

四月一日(ワタヌキ)、早くしろ!」


「明日は、一滴も飲ませません!」

 四月一日(ワタヌキ)は、キレて酒ぬきを言い渡した。

「そんな〜冷たいじゃないの」

侑子(ユウコ)さん、どれだけ飲めば気が済むんですか!」

 四月一日(ワタヌキ)の雇い主は、侑子(ユウコ)と言うらしい……

四月一日(ワタヌキ)、お腹がすいたわ。 何か作って〜」

「酒の次は、飯ですか…… で、何を作ればいいんですか?」

四月一日(ワタヌキ)は、侑子(ユウコ)にリクエストを聞いた。

「ねぇ、モコナ。 何が食べたい?」

 侑子(ユウコ)は、モコナに聞いた。

「カレーが食いたいな」

「そう言うわけで、宜しく」

「何で、手間のかかる物ばかり言うんですか! どの位、時間が掛かると思っているんですか?」

四月一日(ワタヌキ)!」

「はい?」

「手を抜いたらバイト代に上乗せとくわよ」

 侑子(ユウコ)は、四月一日(ワタヌキ)を脅した。

「何でそうなるんですか! 」

「其れから……」

「まだ何か、あるのですか?」

「明日、お客さんが来るから作る料理を考えておきなさい」

侑子(ユウコ)は、四月一日(ワタヌキ)に命じた。

 四月一日(ワタヌキ)は、翌日の料理を考えながら夕食の食材を買いにいった。


四月一日(ワタヌキ)が、買い物に出て行って数分後、電話が鳴った。

「久しぶりじゃない? クロウ…… いや、エリオル」

『あぁ、久しぶりだな。 以前言ってた、彼は如何なった?』

「貴方の楽しみを取っては、面白くないでしょう? 今は、言わないわ」

『すまないな…… 侑子(ユウコ)!』

「クロウ、明日にはこっちに来るんでしょ」

『暫く麻帆良学園に通うことになる』

「あの、学園都市ね……」

『飛行機の時間もあるから之で……』




 史上最大の魔法大戦


 第一話『謎の魔術書』




「さくらちゃん、残念なお知らせですわ」

 待ち合わせの月峰神社には、知世しかいなかった。

「知世ちゃん、何かあったの?」

「実は、先ほど電話がありまして…… 急に仕事が入ったので来れなくなってしまったそうです」

 知世は、電話の内容をさくらに話した。

「そうなんだ〜折角、久々に皆に会えると思っていたのに……」

「さくらちゃん、私もですわ。 でも、お仕事では仕方ありませんわ」

 さくらと知世は、知世のボディーガードの運転する車に乗って、麻帆良学園都市へ向かった。

さくら達の乗った車が、高速へ入って3時間ほど走ると麻帆良学園都市の最寄のインターを下りた。

高速を下りて麻帆良湖沿いを走っていると学園都市と結ぶ橋が見えてきた。

「さくらちゃん、柊沢くんが仰っていた、橋が見えてきましたわ」

 さくらは、事前にエリオルから正規のルートで入らないと結界が発動すると聞かされていたのだ。

正規のルートで入らないと警備の為に、魔法先生や魔法生徒達が駆けつけて来るからだった。

 橋を渡り終えると人影が見えてきた。 見えて来た人影は、金色の長い髪の少女とロボット見たいな少女だった。


「じじいめ。 何で、私が客を出迎えなければならないんだ!」

 エヴァは、機嫌が悪かった。

「マスター、あの車ではないでしょうか?」

 茶々丸は、エヴァに言う。

「やっと来たか…… どれだけ待たせたと思っている」

「此処に来て、10分も経っていませんが」


 そして、車はエヴァ達の前で止まった。

「知世ちゃん、あの人達が出迎えの人かな」

 さくらは、知世に聞いた。

「如何やら、その様ですわね」

「ねぇ、さくらちゃん。 あの娘、誰なんだろうね?」

 雪兎は、さくらに聞いた。



「おい、茶々丸」

 エヴァは、茶々丸に命じる。

「私は、じじいの所に先に行く。 お前は、駐車場へ案内してから来い!」

 エヴァは、其れを言うと飛んで行った。

「分かりました。マスター」


「駐車場へ案内しますからついてきて下さい」

 茶々丸の後に知世のボディーガードが運転する車が続いた。

車が駐車場に着くと知世は、ボディーガードに連絡するまで此処で待つように命じた。


 さくら、知世、雪兎、知世のバックに入ったケルベロスが茶々丸に続く。

さくら達は、茶々丸の案内で中等部校舎の学園長室の前につれて来られた。

 茶々丸は、ドアをノックする。 すると中から声がした。

『入りたまえ……』

 学園長室に入ると学園長とネギ、エヴァ、小太郎、明日菜、木乃香、刹那がいた。

昨日、呼び出されていたメンバーである。

「おぉ、来たかね……」

 学園長が、口を開く。

「早速じゃが、ネギくん。 彼女達は、二学期から麻帆良学園に転入する事になったのじゃ」

「ほぇ〜」

 はじめて聞いたことにさくらは、驚きの声をあげた。

「如何したのですか?」

 ネギは、さくらに聞いた。

「ほぇ〜〜」

 さくらは、混乱してて話せる状況じゃない。

「さくらちゃん、落ち着いてください。 私が、変わりに事情を聞きますから……」

 知世に言われて落ち着きを取り戻すさくら。

「学園長さん、転入について詳しく話して下さいます」

「仕方ないのう…… 柊沢くんからは、話さないでくれと言われおるんじゃが」

 学園長は、渋々話す事にした。

「柊沢くん…… クロウ・リードの生まれ変わりから電話があったのは、昨日じゃ。 そして、聴いた言葉は

『之から起こる事に対処する為に転入生を受け入れて欲しい』とな……」

 学園長の話は続く。

「之から、急な転入手続きに関する内容じゃ。 時期は不明じゃが、クロウ・リードとナギ・スプリングフィールドに怨みを持つ一派が此処、麻帆良に攻めてくる」

「父さんに怨みを持つ一派が攻めてくるって如何いうことですか?」

 ネギは、聞いた。

「ネギくん。 其の事で、『クロウの後継者』である木之本さんが急遽、友枝中から転入する事になったんじゃ。

木之本さんは、とある事で魔法界でも名を轟かしているのじゃ。 エヴァは、聞いたことあるじゃろ…… 賞金総額100000000ドルの魔法界の犯罪組織の名を」

「あぁ、いやでも忘れられん。 『ハルケギニュア』」

「その『ハルケギニュア』をさくらちゃんは、壊滅させたんじゃ」

「じじい、今何って言った!」

「だから、さくらちゃんが壊滅させたと……」

「冗談も休み休みに言え! ナギでも手を焼いた連中なんだぞ。 其れを、こんな小娘が倒しただと!」

 エヴァは、鼻を鳴らして言った。

「小娘、嘘やない。 さくらは、『クロウの虚無』で倒したんや」

「ふん。 ヌイグルミ風情が何を言う…… おい、今『クロウの虚無』とかぬかしたな!」

「確かにさくらちゃんは、其の『クロウの虚無』で倒されましたわ。 嘘と思うのなら証拠を見ますか?」

 知世は、一同に聞く。

「あるのなら早く見せろ! 見てやるから……」

「では、学園長さん。 其処の映像機器をお借りしますわ」

 知世は、返事を待たずに投影準備を始めた。


 映像は、イキナリ激しい戦闘シーンから始まった。

さくらとケルベロス、(ユエ)が『ハルケギニュア』と激しい攻防を行なっていた。

 映像に見入るエヴァ、学園長、小太郎、刹那、茶々丸。

ネギは、オロオロしている。 ネギ自身見たことも経験した事がない戦いだった。

明日菜や木乃香もネギ同様ちじこまっていた。


 数十分の後、映像は終わった。


「じじい、あんな魔法知っているか!」

「ワシも、あんな魔法見たことがない」

 エヴァと学園長は、正体不明の魔法について議論をしている。


「ネギ、何なのよ〜アレ……」

 明日菜は、ネギの服の襟を持って揺する。

「ぼ、僕に、言われても…… そ、それに」

「それに?」

 明日菜は、更に強くネギを揺する。

「僕にも分からない魔法なんです」


「学園長さん、取り込み中すみませんが、さくらちゃん、ある人に此処に来いと言われていたのですが、何なんですか?」

 知世の言葉で忘れていた本題を思い出した。

「済まん、忘れるところじゃった……」

 そう言って、謎の魔術書を机の上に置いた。

「之は、麻帆良学園に保管されとった魔術書じゃ。 香港の協会に保管され取った『クロウの祈祷書』、我が麻帆良に伝わるこの書……

もう一冊は、何処に在るのか分からん」

「『クロウの祈祷書』は、さくらちゃんが持っていらっしゃいますわ」

「何! 持っておるじゃと。 アレは、持ち出し禁止と聞いておるぞ」

 いつの間にか、(ユエ)は真の姿に戻っていた。

「其処の爺さんは、聞いたことないんか? 『次元の魔女』の事を……」

 ケルベロスは、魔女の事を言った。

「せやから、アレは然るべき対価何や!」

 話に付いて行けないネギ、明日菜、木乃香、小太郎、刹那は蚊帳の外だ。

「あの李夜蘭がな……」

「李夜蘭も次元の魔女の事を知とったから対価としてさくらに私たんや。 さくらが『クロウの後継者』ちゅうことあるがな…」

「対価とな…… そんなに価値がある物なのかのう」

「じじい、ナギも手こずっていた事を忘れているんじゃないだろ」

 学園長は、聞こえていないふりをした。

「さて、何の事かのう」

 学園長は、ボケると決め込んだらしい。

エヴァは、謎の魔術書を手に取るとそれで学園長をたこ殴りにした。

学園長の頭からは、血が流れている。

「エヴァ、ワシを殺すきか!」

「知るか」


「あんさん等は、此の書が読めへんかったんやろ」

 ケルベロスは、エヴァ達に聞いた。

「クロウ・リードとか言う奴は、どんな魔法を掛けたんだ! 此の書に……」

「読めんのは当たり前だ。 クロウは、後継者しか読めないよう予め決めていた」

(ユエ)は、言う。

「其の書が読めるのは我が主であるさくらだけだ」

「それじゃ、此の書の内容を確かめてくれんかね? さくらちゃん」

 さくらが学園長から謎の魔術書を受け取ると魔術書が淡い光を発しだした。

謎の魔術書の文字は、さくらとケルベロスと(ユエ)しか見えていない。

 三人にしか見ることが出来ないのだ。

さくらは、何もなかった所に字を見出した。

「ほぇ。 『クロウの封印書』…」

 其れが、謎の魔術書の名だった。

「之で、用は終わりじゃ。 転入手続きは、昨日済ませておいた。 新学期は、9月1日からじゃ……

其れから、魔法の事はくれぐれも秘密にするんじゃぞ!」

「さくらちゃんは、誰にも喋ったりしませんわ。 クロウカード集めの時から話した事はありませんから」

「そうか、それならいいんじゃ」

 学園長は、ある事件で神経質になっていた。


「おい、ぼーや。 さくらと戦え!」

「でも、師匠(マスター)……」

 ネギは、意見を言う。

「さくらとか言ったな。 今日、時間はあるか?」

 エヴァは、さくらに聞いた。

「でも、3時に次元の魔女さんの所に行かないといけないし……」

 さくらは、時計を気にしながら言った。

「時間が無いのなら仕方ない。 私の別荘で戦え! あそこなら、外で一時間だが中では24時間…… つまり一日だ。

問題ないだろ。 さくら!」

「うん」

「さくら、丁度いい機会やないか? あの坊主達が戦力になるか確かめれるで」

「そうじゃの、近々起こる戦いでネギくんがどの程度、戦力になるか確認しておきたいしの」

「決まりだな…… ぼうや、異存ないな?」

エヴァは、ネギを睨んで言った。

「丁度、ぼうやの従者も明日菜と刹那がいることだし」

 エヴァは、話し終えると学園長室から出て行った。






  次回予告


「ほぇ〜イキナリ戦えって言われても……

でも、次元の魔女さんの所に行かないといけないのに」

「さくらちゃんのバトルシーンを記録に残さなくてわ」

「一寸、知世ちゃん」

「幸せですわ〜」

「知世ちゃん?」


「幸せ絶頂ですわ〜」

「聞いてないよ〜〜」


「次回、史上最大の魔法大戦『不思議な店』」


「楽しみに待っているんやで」